論理展開
第一章
- 演算に対して閉じていて
- 結合律が成り立つ
集合のこと。可換律が成り立つ半群も時に扱う。演算表を作ることにより、単位元が存在する半群も見つけられるだろう。逆元も同様。
第2章
代数系自体の構造を調べていく。部分集合が半群になっている「部分半群」、適当な元から生成される「代数系」、複数の代数系から新しい代数系を作る「直積」について学ぶ。
第3章
複数の代数系間の比較を行う。同値律について復習した後、同型について学ぶ。さらに準同型写像と代数系の準同型も。このとき、演算表が非常に強力な道具になる。準同型写像では閉鎖性、結合性、可換性が移される。また、準同型な代数系から同型な代数系を作れること(準同型定理)についても触れる。
第4章
AからAへの写像、変換について学ぶ。変換は半群をなし、変換のうち単射なものは置換と呼ばれる。ここで、半群は変換を用いて表現出来る。この方法には同型なものと準同型なものがある。また、置換は輪換の合成で書ける。
第5章
いよいよ群を議論する。群は、「半群のうち逆演算についても閉じている」集合である。群には可換かどうかによって乗法群と加群がある。群の定義は代数系のうち、
- 単位元
- 逆元
- 結合性
が成り立つものとも言える。
第6章
第2章と同様に、群の構造を調べる。部分群の条件は
a∈S,b∈Sのとき、ab^(-1)∈Sである。また、ひとつの元(生成元)から構成される巡回群、2つ以上の元から構成される群についても学ぶ。
第7章
群の同型と準同型について学ぶ。群の対応では元どうしの対応だけでなく、逆元同士の対応もあって欲しい。これを式に直すと
f(x)f(y)=f(xy)で表せる。
第8章
群を類別することを学ぶ。部分群を使うと郡は剰余類に分けることが出来る。これは右剰余類と左剰余類がある。右剰余類はy∈Hxのときy~xとする。(同値律をみたす。)
ここで、群Gの位数は部分群Hの位数の倍数になる。
第9章
剰余類はそのままでは群の形をしていない。類別する際に使った群がaH=Haを満たすような群(正規部分群)だった時、剰余類による商群となる。
ここまでを準備として、群の準同型定理を学ぶ。
最後に、変換について少し触れる。
第10章
変換の中でも代表的な一次変換とアフィン変換について学ぶ。
感想
一般に「群論の入門書」と呼ばれるものに入門できるようになる本でした。半群から群へと論を進める展開が特徴的です。図表や例が多く、同型準同型については非常にわかりやすかったです。群論としては準同型定理で話が終わってしまうので、もっと進んだ内容を学びたいなら別の本も必要です。また、群の応用に紙面は割かれていないので、その点は物足りなかったと感じました。真の入門書として非常に優れていると感じます。
入門書に入門するための本が必要なのか…