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阿部龍蔵『物理テキストシリーズ6 量子力学入門』の個人的まとめ

論理展開

第1章

量子力学解析力学の言葉で記述され、また解析力学とよく似た形式をとる。よって、まずは解析力学を軽く復習しよう。

質点が平衡状態にあるとき、任意の微小の仮想変位に対して、仮想仕事はゼロになる。このアイデアは束縛条件があるときに威力を発揮し、ラグランジュの未定乗数法と組み合わせることで平衡点が求まる。

運動方程式を慣性力も加えた力のつりあいと考える(ダランベールの原理)ことで上の議論は拡張できる。

さて、運動エネルギーの積分の変分をとってみると、その軌道変化による仮想仕事の時間積分のマイナスと等しくなる。これをハミルトンの原理といい、逆にハミルトンの原理から運動方程式を導くことも出来る。つまり、このふたつは完全に同値である。物体にかかる力が保存力のみの時、ハミルトンの原理は最小作用の原理に書き直される。

最小作用の原理より、変分法を用いることで、EL方程式が得られる。EL方程式は一般化座標で使えるという点で有益である。

次に、変数を一般化運動量へと変換したい。ルジャンドル変換を用いるとラグランジアンハミルトニアンへと置き換えられて、ハミルトニアンは系の全エネルギーを表す。また、ハミルトンの正準方程式を導く。正準方程式位相空間の概念を用いている。

最後に、ポアッソン括弧式を導入しよう。ポアソン括弧式ではfの時間微分は{f,H}と書ける。

 

2章

古典力学の限界をいくつか見てみよう。

固体の比熱については、古典論では各粒子がその場で調和振動子として振動しているというアインシュタイン模型で説明される。このアイデアは常温付近では実験と一致するものの、低温の振る舞いを説明できない。

他にも光電効果も、量子の不思議な振る舞いを見せてくれる。光を金属に当てるとき、電子が飛び出してくるかどうかはその振動数だけで決まり、またある一定以上の振動数でないと電子は飛び出さない。さらに、条件が満たされる時、電子は瞬間的に飛び出す。これは光を波とする立場では理解出来ない。これに対してアインシュタインは光は粒子性を持ち、そのエネルギーはhνで与えられるとした。特殊相対性理論によると、光速とエネルギー、運動量は相互に関連している。これにより、運動量はhν/c。

原子の光のスペクトルを調べることで、原子の構造を求めることが出来る。水素原子のスペクトルはバルマー系列によってその波長が決まっている。一方で、古典電磁気学では原子核の周りを回る電子からは電磁波が放射され続け、やがてはエネルギーを失い一定波長の光など出ない。

これらの問題に対して、ボーアは「ボーア理論」という仮説を作った。これらの概念は現代から見ると完全に正しかった訳では無いが、いくつかの概念は今だ健在である。ちなみに、この時期を前期量子論という。ボーアによると、電子のエネルギーは量子条件で規定される定常状態と呼ばれるとびとびの値をとり、その間を移動する時に光が放射、吸収される。定常状態では電子は古典力学的な挙動を示す。量子条件は位相空間の面積がプランク定数の整数倍に等しいというもの。プランク定数を2πで割ったものをディラック定数と呼ぶ。ボーアの考え方は水素原子のスペクトルを上手く説明している。(リュードベリ定数と厳密に一致する。)

さて、これまで波だと思われていた光が粒子性を持っていたことから、逆に粒子だと思われていたものも波の性質を持つと考えられる。コレをドブロイ波といい、電子の波動性によってこの正当性は示された。また、ドブロイ波の考え方によって量子条件は電子の周期の中に波が綺麗にハマる条件と見なせる。

 

第3章

まず、古典的な波動の復習をしておこう。波動方程式を満たす関数を波動関数といい、いくつかの性質を満たす。オイラーの公式の力を借りて波動方程式を解くことも出来るが、古典論の範囲では物理量は実数にしかなり得ない。

いま、粒子の何らかの性質を持つ「波動関数」を定義して、数学的な変形をする。波動関数は複素指数関数の形で表せる。このとき、物理量は演算子と同一視して考えることになる。

  • -h|/i ∂/∂t→エネルギー
  • -h|/i ∂/∂x→運動量のx成分
  • -h|/2m △→ハミルトニアン

これを元にして、量子力学の基礎方程式であるシュレーディンガー方程式が得られる。特に、時間に依らないときシュレーディンガー方程式は

Hφ=Eφ

と書ける。Hを行列、Eを実数のように見ると固有値問題と同等とみなせることがわかるだろう。このEをエネルギー固有値といい、定常状態を表す。

シュレーディンガー方程式の解のうち、0でないものを固有関数といい、その時のEをエネルギー固有値と言う。シュレーディンガー方程式の解には境界条件が課される。偏微分方程式の解き方には主に変数分離の方法を用いる。波動関数の解の組は直交規格化されたものを採用することになる。(?)

波動関数の意味は、物理的な考察によって考えることになる。今、固有値問題を元に波動関数は定数倍しても同じ状態を表してると考えよう。量子力学では位置は確率的に分布をしていると考える。そうすることで二重性をうまく説明できる。

ここで、量子の存在確率は波動関数の絶対値の2乗で与えられる。すなわち、全領域においてこれを積分した値は1になるだろう。これを規格化という。定数倍しても同じ状態を表すので、規格化は問題なく行える。

さて、一方で波動関数フーリエ変換したものは運動量の存在確率を表す。数学的にも明らかなように、位置と運動量は同時に確定しない。物理量の平均値は∫φ*Qφ drで与えられる。これについては後述。量子力学においては粒子が存在しえなそうに思える領域に存在確率がはみ出ることがある。これをトンネル効果と呼ぶ。

1次元の調和振動子については珍しい解析的にとける問題である。後述。

エレンフィストの定理を用いると量子力学の法則から古典力学の法則が得られる。

第4章

いま、Qφ=λφが成り立つ時、状態φでは物理量Qは確定値λを持つ。いま、λは実数でなければならないので、Qはエルミート演算子と呼ばれる特殊な演算である。エルミート共役の議論にはブラ・ケットベクトルを用いると良い。

さらに、波動関数がある基底の線型和で表される時、物理量はそれらが確率的に重ね合わせの関係にあると考えられる。 全ての波動関数がこれで表される時その関数系を完全系であるという。

物理量の不確定さを標準偏差で表すとすると、シュヴァルツの不等式より不確定性関係が得られる。

さて、これまで考えてきたシュレーディンガー表示に対し、演算子を行列で表現する行列力学という形式もある。これらは理論の上で全く等価であるが、シュレーディンガー表示の方が理解が容易であるため、行列表示は使われていない。ただ、古典力学との関連性を見るにあたって、行列表示は非常に優秀である。

 

読中の感想

第1章

解析力学!タイムリーですね!(ゼミで畑をやっている)ゼミで色々やったおかげで初めて仮想仕事の原理の偉大さがわかりました。「任意の」ってのが強いね。仮想仕事の原理は束縛条件を扱いやすくて嬉しいのかな。古典力学でも使えそう?ダランベールの原理のとこは前々からあんまわかってないなあと思うやつです。初めにやった前野でよくわからなかったから苦手意識があったんだよなあ。ハミルトンの原理は初めて聞いたなあ。ハミルトンの原理=最小作用の原理=運動方程式と、運動方程式最小作用の原理は同値?EL方程式考えたら当然…かなあ?

ハミルトニアンの方は慣れてなくて苦手です…。初学の時に解析力学ニュートン力学の問題を楽に解く技法だ!と認識してしまったので、ハミルトニアンって別にラクになってないやんと思ってしまいました。というか、ハミルトニアンの偉大さ自体量子力学やってわかるみたいな風潮なので…

1章、解析力学の基本がすごいよく纏まっていて優秀です。畑先生のも厳密で、考える余地があって、面白いんですけどね。最小作用の原理から出発する方が私は好きです。

 

2章

アインシュタインヤバすぎでしょ…。古典統計力学にも精通してるってどういう…。低温で振る舞いがおかしくなるのはエネルギーギャップが大きくなるからかなと妄想してみたり。

光電効果!またしてもアインシュタインですね。やっぱ大天才は違うわ。前期量子論はあまり好きでは無いです。理由は「全部ネタバレされた推理小説を読んでる気分になるから」です。

スペクトル。正直よくわかってないです。実験のイメージが掴めないんだよなあ。よくある電子が原子核に落ち込んで行っちゃうって話をしてるんだろうなと。分光学が未だ健在とは知らなんだ。

ボーアの理論、さすがに古典をすべて捨てる訳にはいかないよなあと思いました。古典力学と同様になるってのは今みるとかなり思い切ってますよね。スペクトルの話はここで活きてくるんですね。この理論で一致するのは凄い!調和振動子の話とかはよく分からなかったです。電子の話をしてるんじゃないんですかね?

量子論、色んな人が出てきて楽しいですね。(その分固有名詞がめちゃくちゃ多いけども)

ドブロイ波はさておき、波数とか光速とかが入り乱れててこんがらがるー。難しくは無いけどパッと出てこない!

 

3章

シュレーディンガー方程式… これ名前のかっこよさの時点でズルいですよね。

古典的波動は電磁波で死ぬほど見た形ですね。波動論をちゃんとやってないけどなんとかなるやろ。

本格的に訳が分からなくなってきました。気合で読み進める他ないのかもしれないです。シュレーディンガー方程式がハミルトニアンを使うと簡単にかける?わからなすぎるな。

シュレーディンガー方程式は何を求めたいの?私は何をしているの?数学を追っていくだけです…

定数倍しても同じってのは、ベクトル空間でいう基底みたいな感じですかね。あ、規格化できるよってだけか。

なるほど!時間に依らないときシュレーディンガー方程式は固有値問題になるのね!Eも求めなきゃいけないのは必然!マジで1周じゃ理解出来んな。多分ある程度我慢して読んで知識を一気にまとめないと理解できないんじゃないかなと思います。ロックマンの最初のボスは弱点武器無しで戦わなきゃいけないみたいな感じ。

 

第4章

4章で一般原理が出てくるんですよ!?3章初学でわかるわけないやん!一旦読み切ります。

交換子、ブラケット、行列表示…一ミリもわからん…

ただ、ベクトル空間らしい話(行列表示)をしてるので、数学から攻めていけばわかるかも。

別の本読めばわかるのかね。

難しいー!!

 

読後の感想

ひとまず第4章までがこの本のボリュームゾーンなので、ここで区切ります。後々(理解してから!)5、6章にもチャレンジしたい。とにかく訳が分からなかった!分かるかなと思って進んでもなお分からないです。数学的に攻めていく方がいいのかな…とは今思っています。まあ、まだ焦る必要は無いんですけどね。

量子力学全体として、一周してみないと意味がわからないような構成になっていて(一周してもわかるとは言っていない。)、別の本を読んだらもう少しわかるのかなと思っています。あとは演習!

力学、電磁気とはやっぱし全然難易度が違いますね。個人的には力学→電磁気→熱力学→解析力学量子力学と順々に難しくなっていく印象です。

この後は清水量子論とかを参考に少し演習してみよっかなと思ってます。もしくは砂川量子力学

 

多分全然内面化出来てません。量子力学理解したい…