チベスナノート

仙台で物理やってます。更新情報はtwitterをご覧ください。

福岡伸一『動的平衡 生命はなぜそこに宿るのか』の個人的まとめ

論理展開

プロローグ

生命はすぐに色褪せるため、本質的にテクノロジーの対象になり得ない。これは「生命とは何か」という根源的な問いに基づいている。

 

第1章

クリックの「意識とはなにか?」という問いは、現在にも続く生物学の難問の一つである。これを考察する前に、少し具体的な問題として、アンガーに由来する「記憶とはなにか?」という話題に触れよう。

この問いの考えうる最も単純な答えは「記憶は『記憶物質』なる分子が司る」というものだろう。しかしながら、生体分子は脳細胞に至るまですべてが代謝している。そのためこのアイデアは棄却されることになる。

記憶は物質的に保存されている訳では無い。つまり、記憶自体は想起した瞬間に作られているに過ぎない。

では、記憶の正体は一体なんだろうか。答えは脳細胞間の繋がり、シナプスである。シナプスを情報伝達物質であるペプチドが通ることで記憶の想起が行われる。明確な記憶とは、よく通るシナプスの経路なのだ。

さて、記憶に関連して「時間感覚とはなにか」についても考えてみよう。大人になるほど1年が短くなるのは誰にでも経験があるだろう。だが、意外なことに人間の体内時計(代謝の速度)は大人の方が遅いのである。つまり、時間感覚は体内時計とは別であるのだ。

これにはバイアス(人間の脳が一定のパターンを誤認する)が深く関わっている。人は見たいものを「見て」しまうのである。バイアスは人間の成長の過程で、ペプチドがよく通るシナプスの経路だけが強化され、使わない経路は刈り取られていく事に起因する。外界との折り合いはこのようにして行われていくのである。

「我々は、私たちを規定する、生物学的制約(=バイアス)から開放されるために学ぶ」のであり、『直感に頼るな』という諫言として理解される。

 

第2章

生物は食べたもの(原子)で体を作っている。化石の骨を調べると、当時の食生活が朧気ながらわかるほどである。ただ、食べたタンパク質はそのまま体内に入る訳では無い。タンパク質の持つ生物情報は、アミノ酸という構造単位にまで分割、意味を持たなくされてから吸収される。このメカニズムを消化という。

さて、生物学的には消化管や子宮などは全て体外にあたる。消化管に沿って分布した神経系は、脳と同様にペプチドでのやり取りをしている。つまり、人間の中心は脳とは言いきれず、消化管の可能性があるのだ。言ってしまえば人間は『管』に過ぎない。

これほどまでに消化管が重要視される理由は明確である。それは、生命活動が平衡のダイナミズムの上に成り立つ「効果」であるからだ。

食べたものは消化されるため、食べたタンパク質がそのまま体の一部に使われることはない。コラーゲンをいくら食しても、体内ではそれはコラーゲンとして使われないのである。

欠けたものをそのまま食べて埋め合わせようとするこの考え方は、生命をミクロな部品から考えている。この生命観からのパラダイムシフトを行うことが我々の課題である。

肝臓は最も盛んにタンパク質を合成している。ここで合成されるタンパク質は消化酵素である。食べたタンパク質が60gとすると、そこに70gほどの消化酵素が混ぜられ、その130gから120g程が吸収される。60gのタンパク質をたべ、10gのタンパク質が排出されたという過程だけをみると、この消化酵素の存在は見えてこない。ここに複雑な生命の平衡のリアリティが見えてくる。

 

第3章

人類は、長い飢餓の時代を超え、飽食の時代を迎えた。ここでは、「どうすれば太らないか」をテーマに生命についてみていくことにしよう。

まず、生命現象は本質的に非線形であり、シグモイドカーブを描いている。

ちびちび食べる事が太りにくくするコツである。脂肪細胞の吸収率を決めるのは、血中ブドウ糖濃度であり、この値は膵臓が計り、インスリンが伝達する。つまり、血中ブドウ糖濃度を上げないようにちびちび食べるべきであり、消化が遅いものを食べることが肝要である。なお、消化の遅さを表す指標にGI値がある。

ただ、脂肪と違って、タンパク質は動的平衡であり体内に貯蔵できない。これより、夕食のみのドカ食いなような偏った食生活は、全く新しい栄養失調の形である「一時的栄養失調(マル・ニュートリション)」を導く。

また、トリプトファンと呼ばれる、必須アミノ酸は体内で一瞬ではあるが毒性を持つ。必須アミノ酸だからといって、トリプトファンを過剰に摂ることは危険である。この例ひとつとっても「過ぎたるは及ばざるが如し」、「生命を単純化する」ことの不合理さが見えてくる。

 

第4章

生命は食べたものから身体を構築する。それは人間も例外では無い。消費者が安い食品を進んで買うと、消費者の元に届くまでのプロセスの可視性が失われてしまう。

他にも、添加物による危険もある。添加物の使用は長い目で見ると平衡に負荷をかけることになるかもしれず、まるで人体実験のようである。

遺伝子組み換えも例外では無い。本来完成している生命の一部分を組みかえ、それを食べることは平衡に負荷をかけることに繋がる。

同様の話に、青いバラの話がある。バラを青くするために、他の青い花を咲かせる植物から青色の色素を出す酵素を入れれば良いのかと言うと、実はそうでは無い。青以外の色素を排除することや、青の色素を阻害する酵素の妨害など、するべきことは多岐にわたる。生命を部分で考えることの難しさがここにある。

部品を単純に組みあわせても生物にはならない。大切なのは時間というファクターである。部品間をやり取りされる情報と不可逆性から得られる効果こそが生命である。

 

第5章

生命を構成するあるタンパク質の役割を把握するために、そのタンパク質に対応するDNAを抜き取り、タンパク質を除去したノックアウト・マウスを作り出したい。この技術の理解には、分化についての知識が必要である。

分化は「空気を読んで行われる」。胚の段階では各細胞はどの器官の細胞になるのか決められていない。周囲の細胞との兼ね合いで自身がなんの細胞になるかを決定していくのだ。そこで、胚を分割することで周囲の細胞との関係を絶った細胞(ES細胞)を作る。これはあたかも分化の時計を止めることに対応する。

なお、ES細胞と同様に未分化状態に戻ってしまい、そのまま増えようとする細胞ががん細胞である。

さて、このES細胞に対して、特定タンパク質に対応するDNAの除去を行い、さらに同様の操作を施したラット同士でキメラを作ることで全身でそのタンパク質がひとつもない生物ができる。

この技術を用いて膵臓のGP2細胞という細胞をノックアウトしたマウスを観察すると、不思議なことに異常が見られなかった。これは生物にその細胞が不足してもバックアップするシステムが構築されていることを意味する。このような生命の持つ柔らかさ、可変性、全体としてバランスを保つ機能こそ動的平衡のなせる技である。

 

第6章

病気をもたらすものは多種多様である。脚気のようなビタミンの欠乏や病原菌によるもの、ウィルスによるものがある。これらについて学ぶことにする。

菌は基本的に種を超えて伝染らない、これを種の壁という。また、種の壁を超えて生物は生殖できない。なぜなら細胞の作りが異なり、生殖細胞が結びつかないからである。これは病原菌でも同様の理由である。種の壁を超えると宿主の細胞と適合できないのである。

人類は菌に対して抗生物質で対抗した。一方菌は進化し、徐々に抗生物質が効かないものが現れた。そしてやがて種の壁を越え、自身の構造を次々に変えていくウィルスが誕生した。人類はウィルスへの対策としてタミフルやワクチンを開発したが、近年になってセントラルドグマを破壊した病気である狂牛病が見つかった。

 

第7章

細胞内部にはエネルギーを作り出すミトコンドリアという部分が存在している。実は、このミトコンドリアは細胞内共生体であり、別の生物であるという仮説が主流である。

葉緑体も同様に共生体である。

ミトコンドリアは交配をしないため、母系のミトコンドリアのみが継承される。これをたどっていくと16万年前のアフリカにミトコンドリア・イブと呼ばれる我々人類の共通の祖先がいたことが示唆される。

 

第8章

かつて世界を風靡した生命観に、デカルトの「機械論」がある。機械論者はカルティジアンと呼ばれ、生物を力学的パーツの集合体と捉えていた。

しかしながら、生物とはそんなに単純なものでは無い。生物とは、可変的であり、サスティナブルである動的平衡なのだ。絶え間ないダイナミズムがこれを可能にしている。生物は流れそのものであり、その効果である。

遺伝子組み換え技術、ES細胞のメカニズムの探求、クローン羊ドリー、臓器移植の失敗は機械論的な生命観が誤っていることを示す。

また、動物の意識や心にも目を向けるべきだ。自然界は人間に聞こえないオクターブでやり取りする動物たちの言葉で満ちている。

エントロピー増大則に基づくと、時は戻らないし、形あるものはいつか壊れる。生命は、これに先回りして自らを壊し再構築するダイナミズムに身を置くことで自身を保っている。そしていつかエントロピーの増大に追い抜かれ、死ぬ。ただ、生命は次の世代にバトンを渡す。そのようにしてエントロピーと共存してきた。そう考えると、生物とは本質的に「利他的」なのだ。

動的平衡の生命観においては、環境も生命に繋がる流れのひとつである。非線形で、複雑な「生命」を理解する上で大切なのは、持続する流れの理解であり、それは渦巻きという形で自然界に沢山現れる。

 

感想

個人的にはあまり読まない生物系の本でした。

第1章~第7章では一見お互い関係がなさそうな話題が展開されますが、その裏では常にひとつの主張が貫き、そしてそれらのエピソードは第8章で統一されます。主張は「生命は動的平衡が作る効果」である、というものです。

生命は本質的に部品の集合と考えることが出来ない、単純化への警鐘が印象的でした。出来事の原因を帰納し、近似により観測範囲を制限し、物事を捉えようとする物理の考え方とは大きく異なります。

本書にもあるとおり、生命現象は複雑系特有の現象であり、その魅力と難しさを実感しますね。

1年次(1セメ&2セメ)の講義の感想とアドバイス

(整備中)

 

そろそろ(執筆時1月28日)第2セメスターが終わるので、第1,2セメスターの授業を振り返って感想や後輩へのアイドバスを書きます。ほんとは1セメおわりに書くべきだったと思いますが、当時の自分が思いつかなかったので今まとめて書きます。1セメの話は忘れてるところが多いですがご了承ください。多分次からは…

 

第1セメスター

学問論

担当教員

STU先生ら

感想

大学生として、学問に対するあり方を学ぶ…らしい。講義回と演習回にわかれてたが、基本演習回にしか出てなかった。演習回に出て課題にきちんと答えていれば好成績が貰える。演習回で知り合った人とは連絡先を交換しておくと後述の自然科学総合実験や英語で役立つかもしれない。最終レポートはなにをしたかほんとに覚えてません。狡く単位をとる方法を学びましょう。5限だったので3限と4限めちゃくちゃ暇だった記憶。あとこの科目謎に嫌われてません?TAがかっこいい&かわいい。

 

心理学

担当教員

SKI先生

感想

必ず取らなきゃならない人文系科目の枠で入れた。面白かったけどフロイト心理学やユング心理学みたいな体系だった?話は出てこない。心理学の色々な分野をかいつまんで説明するみたいな講義だった。正直スポーツの後で寝てたor数学内職してた。講義終わりのレポートや実験への協力は3分の2くらいしか出さなかったけど、評価に関わるのは最終レポートのみだったのでそこに全力をかけたら好成績が取れた。各回初めにレポートの書き方を教えてくれるので(参考文献をいれる、論理的な書き方など)そこはちゃんと聞きましょう。受講希望者がめちゃくちゃ多かったのでもしかしたら抽選になるかもしれないから注意。レポートには参考文献を入れましょう。

 

基礎中国語1

担当教員

KT先生&M先生

感想

ドイツ語と最後まで悩んで(アインシュタインの原論文を読みたかった)話者の多さと難易度からこっちを選択した。結果的に正解だったと思う。文法が基本的に英語と日本語のハーフみたいな感じで理解しやすい。暗記事項もそんなに多くない。発音(四声)は確かに難しいけど、自分たちの先生はペーパーテストのみだったのでできなくて問題なかった。成績はテストと課題。どんなスコアでも頑張ってC浮きはさせてくれるらしい。KT先生のテストは演習で登場した単語も登場する。自分の時はマクドナルドを書かされた。単語力勝負かな…  英語と同じでサボりすぎると問答無用で落単らしいけど、7回くらいまで休めるのでそこまで心配する必要は無い。サボっていい訳では無い。

 

スポーツA(卓球)

担当教員

KU先生

感想

出れば浮く。けど、火曜の一限で、なおかつ着替えなきゃいけないので早く来る必要があって辛かった。3回くらいサボってたら良い評価が来なかったけど自分の運動神経が鈍いからなのかサボってたせいなのか定かでないです。でも多分ちゃんと毎回出てればいい評価は来る…はず。正直夏場で汗かくしジャージとか靴とか買わなきゃいけないし朝早いし頑張っても1単位だしで取らなきゃ良かったと思っている。教職の人はスポーツか身体と健康?かなんかをとらなきゃならなかったはずだけど、身体と健康を取ればよかったと後悔した。

 

情報とデータの基礎

担当教員

OON先生

感想

プロバイダとかファイアフォールとかコンピュータ絡みのあれこれを学ぶ授業。高校までの情報に似てる。プログラミングもやる。3から4回あるレポートをきちんとやれば大丈夫。わからなかったら友達or先輩に聞きましょう。理系なら競プロとかやってるプログラミングつよつよの人がいるはず。プログラミングで苦しむかと思いきや、後述の実戦的機械学習1でそんなちゃちなもんじゃあ断じてねぇ難しすぎるプログラミングをやらされていたので何とかなった。

 

実戦的機械学習1

担当教員

SNHR先生

感想

プログラミングは今流行りだし取ってみると楽しいよと言われてとった。だまされた!と思った。普通にめちゃくちゃ難しい。Pythonを知らない人でもできるとは書いてあるものの、Python基礎講座とデータの分析が並行して進んでいくので、Python初心者にとってはよくわからなかったり、習ってないものを使って分析しているという状態が続く。評価は毎回の感想と課題提出で着く…が、自分は半分くらいでこれは無理だと悟り、苦肉の策で「本当に何もかも分からなくなったので過去の内容を復習してから取り組みます」と書いて第10回の課題を出すとことかに第3回とかの課題を出してた。B浮きした。一緒にやってた友達も後半戦リタイアしてたけど落ちてた。意欲は大事。授業ではSlackを使い、みんな見える所で質問対応が行われるが、意欲と能力のある人たちがコードのスクショを張り付け「ここをさらに改良するにはどうすればいいですか?」と質問してるので、そこに書いてあるコードをコピペしても浮くらしい。あとはきちんと対面授業に出て、教授やTAに質問しまくってほぼ答えを教えてもらうということも出来たりと、意外と裏技が豊富。

間違いなく授業時間外の予習復習にかかる時間はかなり多いので取る際は気をつけて。自分はPythonトラウマになりました。

 

英語1A

担当教員

PRIS先生

感想

リーディングの技術を学ぶ…が、うちの大学に受かる人なら割と標準搭載していると思われる内容。ちなみに自分は英語を2次で使っていないので搭載してません(泣)

評価は出席とテストと課題でついた気がする。授業初めのニュースについてのスピーチが辛かったけど、どんなに下手でも評価には関わらないと思われるのでご安心を。出席はクラスルームで「あなた出席してますか?」の所に丸するだけなので不正し放題ですが、人数と出席確認フォームの投稿数がズレてると教室にいる人でプリントが配られて名前書いて提出させられたりと普通にバレるのでやめましょう。課題はそこまで難しくなかった気が。先述の通り、うちの大学に受かるなら何とかなる。問題は期末試験で、TOEFLの過去問?模試?かなんか(TOEFLと同じ形式の問題)を解かされる。TOEFLは普通にムズいし、2セメの評定にも関わるのでどうせならきちんと勉強してくださいませ。ちなみに、年度始めのTOEFLは成績に影響しないのでサボっても浮くけど、超早い1A対策と思って受けておくのをおすすめ。(あとなぜか自分の時はTOEFL受験時に充電器が貰えました)

 

英語1B

担当教員

NKMR先生

感想

リスニングandスピーキングの技術を学ぶ。基本周りの人と指示された課題に取り組めば良い。授業は全編英語だけど、実際は簡単な単語で理解しやすいスピードで話してくださるのでそこまで気張らなくていい。成績は出席と課題とテストだった気がする…

出席は席が指定されていて、授業開始時にそこに座っていないと欠席判定、なお開始15分くらいなら遅刻扱いになる。休みすぎると問答無用で落単になるから注意。自分は木曜一限起きれなくてあと1回休んだらアウトだった。最後は寝ないで学校に行った。皆さんほんとにほんとに気をつけてください。友達にモーニングコール頼むのもありです。

課題はそこまで難しくなかったような?徹夜時間にやってた。テストはリスニングなので日々の努力が重要です。TOEFL対策、ちゃんとしよう!ただ…自分たちの代では凄まじい裏技があったりした。詳しくは自分まで。

 

線形代数学A

担当教員

OGT先生

感想

3×3行列なんかを使って逆行列とかまで学ぶ。ヨビノリをみましょう。基本対面だけどオンデマンドも配信される。各回レポート課題が課されるけど提出がメールだから忘れがち。授業にきちんと出て授業中にしばくのがいいじゃないかな?テストは基本的な計算問題だが、テストの1,2回前の講義に渡される試験対策プリントと瓜二つなのでよくやり込んでおくと良い。計算力がものをいいます。普通にみんな解いてくるので高得点を取らないと良い成績は来ないと思われる。ガチ勢の皆さんは鬼の演習を積みましょう。自分はダメでした(死)。理物的には量子力学に関わるのでモチベが下がったらブラケットとかでググってみると良い。

 

解析学A

担当教員

OKB先生

感想

大学に入って初めての講義が解析学。初回で有界単調増加列の話で三角不等式が解らなくて絶望した記憶がある。前半戦(中間まで)が微分含む理論的な部分、後半は主に積分を使った計算できるかが重視される部分だった…という印象。うちの大学に受かる人なら積分は問題なく出来ると思うけど、微分の理論的な部分はかなり辛いものがある。前半戦はほぼ全部対面出席してたけど後半は計算ばっかだったからオンデマで済ませてた。

自分は授業中に定理の主張と証明を共に理解できるほど賢くはなかったので、授業中は定理の主張だけでも理解できるように注力してた。主張さえ分かれば話の流れは理解できるのでおすすめ。自宅でゆっくり証明を復習しましょう。積分は高校で出てこない逆三角関数と√x²+aの形をきちんと演習しておけば計算自体はできるはず!

中間は論述メイン、後半は積分の計算メイン。中間は平均4割というキルリーダー度合いだったけど解けなかった問題を解きなおすと7割くらいにまで押し上げてくれる。なお、最終問題は3時間くらい考えて同級生や先輩に聞いてやっとわかるくらいの難易度。期末は計算だったので平均が高かった。

担当教員がめちゃくちゃスマート。(でもこの先生、来年度以降解析学Aは担当なさらないかも。)

 

物理学A

担当教員

SMZ先生

感想

余裕やんと思ってずっと内職してた(小声)

高校で微積物理をやった人もきちんと授業は聞きましょう。(戒め)  試験は授業であつかった簡単な問題ばかりだった記憶。その分アベレージもめちゃ高いので、いい成績取りたいなら満点とる気持ちで頑張りましょう。強いて言うなら空気抵抗を受ける物質の単振動と極座標での運動方程式ケプラー運動あたりがちょっと難しいかも?全部割と他分野でも出てくるので理物ならちゃんと理解しときましょ。(ケプラー運動は相対論で近日点移動を議論する時に出てきて感動した。)

ラザフォード散乱で「こんなん暗記してないと解けないじゃん…」とめちゃくちゃ勉強したけど出なくて安心した記憶。結局量子でやるのでちゃんとやろうね。力学と名のつく教科書は沢山ありますが、有名なランダウとかゴールドスタインとかは解析力学の内容も使って力学全体を俯瞰する立場なので物理Aの教科書にはなりえません。あと物理テキストシリーズの力学は難しいので気をつけましょう(戒め)

 

基礎物理数学

担当教員

ISKW先生

感想

大講堂で理物が一同に会すので楽しかった。通称KBS。(余談だが、この呼び名の発祥は自分だと自負している。褒めろ。)内容は線形代数微分方程式、ベクトル解析の速習コース。 授業初めの小テスト、中間試験、期末試験で評価がつく。小テストはきちんと解けるようになっておきましょう。過去問が有効。微分方程式は力学、ベクトル解析は電磁気学で効いて来る。線形代数量子力学でめちゃくちゃつかうのできちんと覚えておきましょう。(力学でも対角化とかはたまーに使う)

基底の取り替えや対角化なんかで頭を抱えた記憶がある。はじめての物理数学は読み返すと計量テンソルとか色々書いてあって笑う。中間、期末試験は普通に難しかった(高校数学チックだった)記憶。解いてて楽しかった。計算量が多いので計算力がカギです。

内容的に田崎先生の物理数学のPDFが被るので(補習も合わせて)余裕があるならオススメです。

 

基礎物理数学(補習)

担当教員

ISKW先生

感想

小テストがやばかった人は強制で出ないといけないやつ。出る必要がなかったけど出ないと金曜5限の電磁気ゼミまで暇だったので全部出た。成績つかないのでサボりたい人はサボればいいと思うけど…

星つき問題はフーリエルジャンドル微分方程式、ガンマ関数… 入って3週間の人にやらせるには重くないですかね?後々めっちゃ出てくるのでやっとくといいです。自分は星つかない問題を爆速で終わらして星付きをめちゃくちゃ喋りながらみんなで解いてました(迷惑)

 

力学演習1

担当教員

UTD先生

感想

過去問ゲーです。星付きは明らかに力学演習2、電磁気学演習1より難しいです。未だに解けません。授業聞いて過去問をきちんと解けば好成績が貰えます。僕らの先生は内容に結びついた話を披露してくださるので楽しかったです。浮けばいいと思ってる人でも理物なら再テストには呼ばれないように…

星つかない問題くらいならググれば答えが出てくるので活用しましょう。

 

化学A

担当教員

FKMR先生

感想

軌道論や結合論をかるくやった。前半戦の軌道論が鬼門です。シュレーディンガー方程式は出てこないけど、2セメで量子力学をやってシュレーディンガー方程式を解いた方が理解出来たので余裕のある理物の人は量子力学を見てみるのもあり。後半の話は高校で化学をとっていた人ならわかると思う。テストは各回から満遍なく出た…気がする(忘れてる)

自分は過去問を使った記憶があるが入手経路が思い出せない。ごめんなさい。だいたいそのままだったような…

教科書が高い。高い割にあんまし使わない。自分は先着1名様にブラウンあげてもいいかと思ってる。(小声)

 

生命科学A

担当教員

TGT先生達

感想

何人かの先生が生物学の様々な分野をオムニバス形式で授業する講義。教職だったので取らざるを得なかった。高校で生物未履修でも理解できる…はずが、中盤の5授業くらい生物とってても訳分からんくらい難しい先生が担当なさる講義がある。毎講義なんらかの課題が課されるが、その先生の時だけ授業資料では全然解けずに海外のサイトとかを読み込まないと納得いく答えが出なかった記憶がある。それ以外の先生は資料を読めば理解できるので楽。学問論や英語なんかで生物系の人と仲良くなっておくと強い。乞食しましょう。オンデマンド付き対面だったが、最後の授業以外出席しなかった。ちなみに、そのめちゃ難しい課題を出してくる先生は「『生物科の人達がとる』生命科学Bでも全く同じ課題を出てきたらしい」…     詐欺だっ!

教科書が高い。買わなくても何とかなる(経験談

 

教職論

担当教員

SMZ先生

感想

教職に関する講義1つ目。

教職の講義は基本的にセメスター内で行う通期授業と、長期休業中に一気に行われる集中講義がどちらも開講される。個人的な意見だが、集中講義よりも通期授業を取った方がいいと思う。理由は単純で、集中講義のうちいくつかは対面で行われるので、休業中も学校に来ないといけないから。実家が近い人ならばいいが、遠方から通う人にとっては帰省時期が制限されたり、3日間程度のために無駄に往復する羽目になる。もちろん、オンデマンドなら自宅から受けれるのでその心配は無いから、集中講義は授業スタイルをよく確認しておくのがいいと思う。調子に乗って取りすぎないようにしてくださいませ。

と、言っておきながら自分はこの講義と下記の「教育課程論」は集中で取った。この講義に関しては、通期で行われている講義が必修と被っていて、1セメでとるために集中にせざるを得なかった。形式はオンデマンド。内容は学校のシステム、教員の資格、教員を取り巻く問題など、教育に関する幅広い内容を扱う、教職絡みの入門的な講義。教職を志している人にとっては興味深いと思う。成績はレポート1発勝負だった。自分は、「体罰がないから教師の権威が下がって、学級崩壊が起こるけど、仕方ないよね。大事なのは教師の権威を取り戻すことじゃなくて『教育を受けさせること』だから、学校外の取り組みを強めた方がいいよ」という、学級崩壊が起こることは逃れられないというアホすぎるレポートを出したが、参考文献をしっかり国の資料とかから引っ張ってきたら良い成績だった。多分だけど、「学級崩壊」と「体罰」という別の授業で扱われた内容を纏めて論じたからかと。夏休みの課題を思い出して懐かしくなった。

 

教育原理

担当教員

KYT先生

感想

教職に関する講義2つ目。自分は先述の集中講義に関する問題点を知らなかったので夏休みに学校に行くために無駄な往復をする羽目になった。3日間で15講義を走り抜けるという夏期講習みたいな講義だった。すっごいキツかったし雰囲気も予備校みたいだった。

内容は教育史。西洋での子供、ないし人間観の発展に伴う教育のあり方の変化や、日本での教育の変遷を辿る。15時間ぶっ続けでやったからかもしれないけど、個人的には第1セメスターで1,2を争う面白さだった。(対抗馬は基礎物理数学の補習)   高校で世界史や倫理をとってたらもっと面白かったのかも。非教職の人も取るといいと思う…けど教育に興味が無いとつまらないのかもなあ。成績は各授業毎に先生から指定された内容について作文。後半20分くらいが作文を書く時間にあてられた。どうすればいい成績がとれるのかは正直…わからん…  自由に書けばいいよと言われたから書いた。この作文を出してれば単位は来るらしい。対面授業にでてないと作文のテーマがわからないので注意をば。

 

第2セメスター

自然科学総合実験

担当教員

自然科学総合実験運営の方々

感想

間違いなく第2セメスターで1番「重要な」科目。通称自科総。2セメの印象はほぼこいつと言ってもいいかもしれない。2週間でひとつずつ、計6個の実験を行う。実験は理学の様々な分野から幅広い題材を扱うが…(少なくとも物理分野に関しては、パッと出の公式で、体系立っていない内容理解の下、全く定量的でない考察を強いられる… 量子力学を知らないのにクーパー対の話が出来るだろうか?波動論を学んでいないのに回折現象を議論できるか?自分は「お気持ち物理」と呼んでいる。)

それぞれの実験は基本的に1週目が表回と称される実験回、2週目が裏回と称される講義回となっている。(実験によっては逆転したり講義回でも簡易実験を行う。)それぞれの実験毎にレポートの提出がある。レポートはワープロソフトを使っていい。評価はこのレポートの成績と出席でつく。出席の割合は意外と大きいのできちんと出ましょう。レポートはセメスター末の期日までに5つ以上出さないと問答無用で落単。苦しむ同期の姿を少なからず見てきました。この科目の再履修はダメージがめちゃくちゃでかいので注意しよう。逆に「ある程度のクオリティで5つレポートを出せば浮きはする」らしいが、真偽は不明。

この科目、吸われる時間がめちゃくちゃに多い。2セメの他の科目の課題に要する時間とこの科目に要する時間が1対1くらいな気がする。従って、「この科目にどう向き合うか」はかなり重要な問題になる。自分は中途半端に頑張ったが、この科目をC浮き前提で適当に取り組んで、その分他の科目に回すなどの作戦もありかもしれない。きちんと作戦をねって欲しい。以下は好成績を獲りたい奇特な人類のための方法。

まずこの講義、かなりの他人のレポゲーである。というのも、提出した各レポート毎に採点とコメントが帰ってくるのだが、再提出は認められていないので、当然このコメントは「当人にとっては」役に立たない。つまり、他人のレポートを何とか「評価と一緒に」もらってその採点コメントをみながら内容をブラッシュアップしていけば良い。また、どうもこの講義、考察は質より量!なところがある気がする。書きすぎて減点されることはなさそう…?自分で一通り書き上げたあと、他人のレポートをみて「ここの考察自分になかったなあ」という内容をどんどん付け足してキメラレポートを作ればいい。(そもそも毎年400?人くらいが同じ実験についてのレポートを出しているのだ。最早独自性なんてあってないようなものだろう。)あとは図表の体裁や基本フォーマットはきちんと守ろう。点を引かれてはバカバカしい。他人のレポートのゲットの仕方だが、理学部に関して言えば大きく3つある。1つ目は先輩から貰う。ただし、実験の内容は毎年少しづつ変わっているので注意。丸パクリではなく考察のキメラ素材にしよう。2つ目は第1セメスターで自科総を受ける工学部とかの友達から貰う。このとき評価のスクショなんかも残しておいてもらうのを忘れずに。3つ目は、同学部の同期。この科目、学生をいくつかのグループに分けて実験を行うので、先にその実験をこなしたグループが最初の実験以外必ず存在する。そいつと協力して、既に返却されたレポートをお互いに共有すれば良い。コツなどありません。ひたすら情報戦です。賢く立ち回りましょう。

 

外積代数とベクトル解析入門

担当教員

HKS先生

感想

ベクトル空間から初めて、テンソル代数、外積代数や多様体など幅広く学ぶ…が、授業時間が足りず外積代数を少しだけやったところでタイムリミットであった。「ベクトル解析30講」という教科書を用いてゼミを行う。単位元や逆元、同値類などの言葉が出てくるので、群論かなんかの代数学を少し勉強しておくといい。ゼミの質は物理の会に比べると著しく悪い。正直独学の方が頭に入る…

評価はおそらく出席と発表で決まる。発表は多くとも3回程度しかないのできちんとクオリティを上げて臨もう。あとはきちんと出席しよう。(どんなに話を聞く価値がないと感じても!)自分はずっと内職してた。なんだかなあ。

 

2023のご挨拶と抱負と計画

新年明けましておめでとうございます

今年もよろしくお願いいたします。

 

来てしまいました、2023。

2022の振り返りは前の記事でやったので、本記事では2023の抱負をば。

 

 

 

抱負

私の2023の抱負は

何かをやり続ける。そして積極的活動

のふたつを掲げます。

 

 

 

以前より自分は自身の短所に「継続力の無さ」を上げていました。今年はそれを克服したいなと思っています。継続力のなさはつまるところ意思の弱さです。自己を律することを目的に、毎日何かをやり続けることを抱負とします。何をするのかは後述。

 

また、昨年は「なるようになる」1年でした。もちろんそれも楽しくはあったのですが… 自分の人生は自分で掴みたいなという心境になり、積極的に活動、チャレンジしていけたらいいなと。

 

 

 

 

以下読まなくていい内容…

 

一体何を継続するの?

では、「何か」をやり続けると言っても、一体何をするのか。パッと決められないので、思いついたことを列挙していきます。これが私のやりたい(やるべき)ことだ!

 

  1. 一日の勉強報告
  2. 体を鍛える
  3. 英語
  4. 院試なんかの演習
  5. 一日一善的な
  6. 読書
  7. 趣味
  8. なんかの科目(物理に限らず)

 

…こんなもんでしょうか。わりと甲乙つけがたい内容が並びました。悩ましい。

1は週ごとでも良さそうですね。Twitterで日毎、ブログで週毎でも楽しそうです。ダイアリー復活?

2は昔やってたサイクルで回しましょう。できるできる…

3、4、6は隔日とかでも良さそうですね。まとめましょう!6と8は被るし。7は週ごとを目安…かな…

5は…うん…

むー、ひとまずやってみましょう!

積極性!

 

 

 

計画

1年の計画を立てていきます。

まずは3月まで、大きな目標は車校と基礎の徹底でしょうか…

物理の基礎は力学、電磁気、熱、量子、統計、特殊相対論かな…?そんなイメージです。後もう少し頑張らなきゃいけないのは熱統計と量子ですかね。。。大変…頑張ります!

 

4月以降はもう少し好きな科目をやりつつ、基礎の復習をば…

一般相対論と場の量子論を2大目標に…

流体や多様体を足しつつ…

下手したら統計はこっちにくい込んで来るかもしれないですね…

 

意外とハード?

 

出来ない…?

 

 

いや!できるできる!積極性!為せば成る!

シンプルかつシンプルすぎず!

自分に打ち勝つ!!

 

2023もよろしくお願いします!!!!!

てる『2022年』の個人的まとめ

気づけば12月31日、2022年ももう終わりでございます。最近なかなか更新できていないこのブログですが、1年の振り返りを書きます。

 

今年あったこと

月ごとに書こうかと思ったのですが、思った以上に覚えていなかったのでまとめて並べていきましょう。

大学入学前

共通テストに震えてた記憶があります。思った以上に高スコアだったのでこれは行けるか!?と思ったのですが、ダメでした。後期は受かると思っていなかったので、本当に想像もつかない結末という感じです。なるようになるんだな。高校生活、楽しかったなぁ…

春休みに何もしていなかったのが悔やまれます。Twitterしかしてなかった。。。

Twitterはスタートダッシュきれるのでこの時期はやってて良かったのかもしれません。でも今もやってるのは…

ガッシュ2がでかかったなあ。

 

大学入学から第1セメスター

入学直後は鮮明に記憶しています。何をするにもわからなくて、なんか空回りしていたような…

ここで出会った友人たちと未だに交流しているので、割と良いスタートだったのかな。Twitterも未だに辞めれません。物理の会に入ったのも大きかったです。オリエンテーションで物理の会知らなかったらまた運命変わってたかもしれません。感謝。

1セメスターは実践的機械学習と英語1Bで苦しんでた記憶があります。単位取れてて良かったです。この頃は徹夜に抵抗があって、朝起きれていなかったようですね。

沢山お散歩してました。夏熱くなって辞めちゃいました。また快適な季節になったらぜひ。

お勉強面では電磁気ゼミがずっと動いていました。夏休みに個人的にめっちゃ勉強して存在意義が無くなったので消滅してしまいました。この頃はまだ甘かったですね。静電場とか今見返すと単なるポアソン方程式だけの理論やんとか思っちゃいます。解析力学もやっていたようです。ハミルトン形式は理解できてなかったですね。未だに理解できてません。あとなんか群論頑張ってた記憶が…うっ!頭が…

複素関数とかもやってた…ような…

 

夏休みから第2セメスター

夏は…何をやってたんだっけ… 

ああ!電磁気を終わらせたんでした。マクスウェル方程式にときめいてたような。あとは熱力学ですね。田崎。ずっとわからない。来年の課題です。

2セメスターは車校が…

なんか1セメより短く感じます。もう期末?これが老化です。寒くてやる気が出ない…

お勉強面もあんまし…って感じかな。解析力学ゼミがずっと動いてたのが大きいです。かなり理解が深まりました。自力!フーリエ変換を10月に学んだのもいいですね。幅が広がった気がします。電磁気ゼミをTwitter経由で知り合った人達とやりました。理論電磁気学、いい本ですね。1セメの自分がいかに浅いかを思い知らされました。本腰入れて勉強を始めたのは12月からでしょうか。量子力学、特殊相対論、流体力学、熱力学と格闘してました。数学アンチになってきたのも2セメの特徴かな。。。

 

 

感想

こうして並べてみると、意外となんもしてませんね。。ブログも余り更新してないし。書きかけの記事が…沢山…初めはダイアリー、毎日投稿にしようと思っていたんですよね。個人情報をひけらかすのはどうかと思いやめました。あと、価値を感じなかった…。お勉強の様子なんかは残しても良かったかもしれません。初々しい感じがイイ!

とにかく、なるようになった1年でした。逆に言えば自分から行動を起こさなかった1年でもあった気がします。来年はもっと積極的に…

1年間、ありがとうございました。来年もよろしくお願い致します。

 

22→23 なるようになる。でも、それじゃつまらない。

「益川敏英『基幹講座 物理学 解析力学』の第6章~第10章(Hamilton形式)」の個人的まとめ

(整備中)

論理展開

第6章

ラグランジアンを変形して、変数をqとpをとる。これはハミルトニアンと呼ばれ、時間並進対称性があるときは、エネルギーと同じである。量子力学では、定義できない位置の微分より運動量の方が本質的である。

ハミルトニアンをqとpで微分するとハミルトンの運動方程式なるEL方程式と等価である連立方程式が得られる。EL方程式との違いは、ハミルトンの運動方程式は「1階の連立微分方程式」という点である。

ハミルトニアンの時間全微分は時間偏微分に等しく、ラグランジアンの時間偏微分のマイナスである。これはエネルギー保存則と結びついている。

また、Hの全微分とpq(dot)-Lの全微分の係数を比較することで上の関係式は全て導くことができる。

ルジャンドル変換なる変換を使うと、ハミルトニアンラグランジアンルジャンドル変換したものと理解できる。ルジャンドル変換は変数変換の手法であり、対称な式をゲットできるので、ハミルトンの運動方程式を入手するため使用するのだと考えられる。

また、作用の変分を考えてもハミルトンの運動方程式を入手できる。

N自由度系に対してqとpからなる2N次元空間、位相空間を考える。系の運動の様子はこの空間上での曲線で表される。この曲線の接ベクトルはハミルトニアンの流れで与えられる。また、これよりハミルトニアンが時間に陽に依存しない時、曲線は交わらないこともわかるだろう。例として、調和振動子楕円曲線を描く。なお、(勘違いされがちだが、)曲線の決定には初期エネルギーのみでなく、複数個の初期条件が必要である。

ポアソン括弧という演算を定義しよう。ポアソン括弧を使うと、様々な性質が得られる。定理については本文参照。

 

読中の感想

第6章

む、ルジャンドル変換は登場しないんですね。量子力学をちょっとだけ勉強してやったからわかるけど、位置の微分なんてものは定義できないんですね。だから運動量と。

ハミルトンの連立方程式は連立1階微分方程式にしたって点がEL方程式が異なりますねー。

ハミルトニアンの時間微分の話まじ何がしたいかわからんなぁ。特にラグランジアン偏微分のマイナス倍だよってのはハテナ。ハミルトニアンの方はエネルギー保存則なんでしょうけど。

あ、なるほど。全微分の係数比較で3つの関係式が出るからt偏微分について記述してあったんですかね。こっちのがエレガントで好きです。

あ、ここでルジャンドル変換が出てくるんですね。でも何のためにやってるかとかが見えずらい…?シンプルに変数を変えて、対称な式がゲットできるって感じかな?

運動方程式の導出法が多すぎです!変分は正統って感じがして好きです。式変形が難しい!!!!

位相空間(フェイズスペース)とハミルトニアンフローですね。多様体と結びついていることは分かります。初めて見た時は感動した発想でした。(半年前)これも量子力学への応用が大事ですね。前野では運動を神の視点から俯瞰するとありましたが、実際はこれを使って問題を解析することはあるんでしょうかね?力学系

ポアソン括弧式は量子力学の交換関係ですね。やってることは定義してぶち込むだけなんで、慣れですね。便利さが見えないです。

 

感想

 

 

阿部龍蔵『物理テキストシリーズ6 量子力学入門』の個人的まとめ

論理展開

第1章

量子力学解析力学の言葉で記述され、また解析力学とよく似た形式をとる。よって、まずは解析力学を軽く復習しよう。

質点が平衡状態にあるとき、任意の微小の仮想変位に対して、仮想仕事はゼロになる。このアイデアは束縛条件があるときに威力を発揮し、ラグランジュの未定乗数法と組み合わせることで平衡点が求まる。

運動方程式を慣性力も加えた力のつりあいと考える(ダランベールの原理)ことで上の議論は拡張できる。

さて、運動エネルギーの積分の変分をとってみると、その軌道変化による仮想仕事の時間積分のマイナスと等しくなる。これをハミルトンの原理といい、逆にハミルトンの原理から運動方程式を導くことも出来る。つまり、このふたつは完全に同値である。物体にかかる力が保存力のみの時、ハミルトンの原理は最小作用の原理に書き直される。

最小作用の原理より、変分法を用いることで、EL方程式が得られる。EL方程式は一般化座標で使えるという点で有益である。

次に、変数を一般化運動量へと変換したい。ルジャンドル変換を用いるとラグランジアンハミルトニアンへと置き換えられて、ハミルトニアンは系の全エネルギーを表す。また、ハミルトンの正準方程式を導く。正準方程式位相空間の概念を用いている。

最後に、ポアッソン括弧式を導入しよう。ポアソン括弧式ではfの時間微分は{f,H}と書ける。

 

2章

古典力学の限界をいくつか見てみよう。

固体の比熱については、古典論では各粒子がその場で調和振動子として振動しているというアインシュタイン模型で説明される。このアイデアは常温付近では実験と一致するものの、低温の振る舞いを説明できない。

他にも光電効果も、量子の不思議な振る舞いを見せてくれる。光を金属に当てるとき、電子が飛び出してくるかどうかはその振動数だけで決まり、またある一定以上の振動数でないと電子は飛び出さない。さらに、条件が満たされる時、電子は瞬間的に飛び出す。これは光を波とする立場では理解出来ない。これに対してアインシュタインは光は粒子性を持ち、そのエネルギーはhνで与えられるとした。特殊相対性理論によると、光速とエネルギー、運動量は相互に関連している。これにより、運動量はhν/c。

原子の光のスペクトルを調べることで、原子の構造を求めることが出来る。水素原子のスペクトルはバルマー系列によってその波長が決まっている。一方で、古典電磁気学では原子核の周りを回る電子からは電磁波が放射され続け、やがてはエネルギーを失い一定波長の光など出ない。

これらの問題に対して、ボーアは「ボーア理論」という仮説を作った。これらの概念は現代から見ると完全に正しかった訳では無いが、いくつかの概念は今だ健在である。ちなみに、この時期を前期量子論という。ボーアによると、電子のエネルギーは量子条件で規定される定常状態と呼ばれるとびとびの値をとり、その間を移動する時に光が放射、吸収される。定常状態では電子は古典力学的な挙動を示す。量子条件は位相空間の面積がプランク定数の整数倍に等しいというもの。プランク定数を2πで割ったものをディラック定数と呼ぶ。ボーアの考え方は水素原子のスペクトルを上手く説明している。(リュードベリ定数と厳密に一致する。)

さて、これまで波だと思われていた光が粒子性を持っていたことから、逆に粒子だと思われていたものも波の性質を持つと考えられる。コレをドブロイ波といい、電子の波動性によってこの正当性は示された。また、ドブロイ波の考え方によって量子条件は電子の周期の中に波が綺麗にハマる条件と見なせる。

 

第3章

まず、古典的な波動の復習をしておこう。波動方程式を満たす関数を波動関数といい、いくつかの性質を満たす。オイラーの公式の力を借りて波動方程式を解くことも出来るが、古典論の範囲では物理量は実数にしかなり得ない。

いま、粒子の何らかの性質を持つ「波動関数」を定義して、数学的な変形をする。波動関数は複素指数関数の形で表せる。このとき、物理量は演算子と同一視して考えることになる。

  • -h|/i ∂/∂t→エネルギー
  • -h|/i ∂/∂x→運動量のx成分
  • -h|/2m △→ハミルトニアン

これを元にして、量子力学の基礎方程式であるシュレーディンガー方程式が得られる。特に、時間に依らないときシュレーディンガー方程式は

Hφ=Eφ

と書ける。Hを行列、Eを実数のように見ると固有値問題と同等とみなせることがわかるだろう。このEをエネルギー固有値といい、定常状態を表す。

シュレーディンガー方程式の解のうち、0でないものを固有関数といい、その時のEをエネルギー固有値と言う。シュレーディンガー方程式の解には境界条件が課される。偏微分方程式の解き方には主に変数分離の方法を用いる。波動関数の解の組は直交規格化されたものを採用することになる。(?)

波動関数の意味は、物理的な考察によって考えることになる。今、固有値問題を元に波動関数は定数倍しても同じ状態を表してると考えよう。量子力学では位置は確率的に分布をしていると考える。そうすることで二重性をうまく説明できる。

ここで、量子の存在確率は波動関数の絶対値の2乗で与えられる。すなわち、全領域においてこれを積分した値は1になるだろう。これを規格化という。定数倍しても同じ状態を表すので、規格化は問題なく行える。

さて、一方で波動関数フーリエ変換したものは運動量の存在確率を表す。数学的にも明らかなように、位置と運動量は同時に確定しない。物理量の平均値は∫φ*Qφ drで与えられる。これについては後述。量子力学においては粒子が存在しえなそうに思える領域に存在確率がはみ出ることがある。これをトンネル効果と呼ぶ。

1次元の調和振動子については珍しい解析的にとける問題である。後述。

エレンフィストの定理を用いると量子力学の法則から古典力学の法則が得られる。

第4章

いま、Qφ=λφが成り立つ時、状態φでは物理量Qは確定値λを持つ。いま、λは実数でなければならないので、Qはエルミート演算子と呼ばれる特殊な演算である。エルミート共役の議論にはブラ・ケットベクトルを用いると良い。

さらに、波動関数がある基底の線型和で表される時、物理量はそれらが確率的に重ね合わせの関係にあると考えられる。 全ての波動関数がこれで表される時その関数系を完全系であるという。

物理量の不確定さを標準偏差で表すとすると、シュヴァルツの不等式より不確定性関係が得られる。

さて、これまで考えてきたシュレーディンガー表示に対し、演算子を行列で表現する行列力学という形式もある。これらは理論の上で全く等価であるが、シュレーディンガー表示の方が理解が容易であるため、行列表示は使われていない。ただ、古典力学との関連性を見るにあたって、行列表示は非常に優秀である。

 

読中の感想

第1章

解析力学!タイムリーですね!(ゼミで畑をやっている)ゼミで色々やったおかげで初めて仮想仕事の原理の偉大さがわかりました。「任意の」ってのが強いね。仮想仕事の原理は束縛条件を扱いやすくて嬉しいのかな。古典力学でも使えそう?ダランベールの原理のとこは前々からあんまわかってないなあと思うやつです。初めにやった前野でよくわからなかったから苦手意識があったんだよなあ。ハミルトンの原理は初めて聞いたなあ。ハミルトンの原理=最小作用の原理=運動方程式と、運動方程式最小作用の原理は同値?EL方程式考えたら当然…かなあ?

ハミルトニアンの方は慣れてなくて苦手です…。初学の時に解析力学ニュートン力学の問題を楽に解く技法だ!と認識してしまったので、ハミルトニアンって別にラクになってないやんと思ってしまいました。というか、ハミルトニアンの偉大さ自体量子力学やってわかるみたいな風潮なので…

1章、解析力学の基本がすごいよく纏まっていて優秀です。畑先生のも厳密で、考える余地があって、面白いんですけどね。最小作用の原理から出発する方が私は好きです。

 

2章

アインシュタインヤバすぎでしょ…。古典統計力学にも精通してるってどういう…。低温で振る舞いがおかしくなるのはエネルギーギャップが大きくなるからかなと妄想してみたり。

光電効果!またしてもアインシュタインですね。やっぱ大天才は違うわ。前期量子論はあまり好きでは無いです。理由は「全部ネタバレされた推理小説を読んでる気分になるから」です。

スペクトル。正直よくわかってないです。実験のイメージが掴めないんだよなあ。よくある電子が原子核に落ち込んで行っちゃうって話をしてるんだろうなと。分光学が未だ健在とは知らなんだ。

ボーアの理論、さすがに古典をすべて捨てる訳にはいかないよなあと思いました。古典力学と同様になるってのは今みるとかなり思い切ってますよね。スペクトルの話はここで活きてくるんですね。この理論で一致するのは凄い!調和振動子の話とかはよく分からなかったです。電子の話をしてるんじゃないんですかね?

量子論、色んな人が出てきて楽しいですね。(その分固有名詞がめちゃくちゃ多いけども)

ドブロイ波はさておき、波数とか光速とかが入り乱れててこんがらがるー。難しくは無いけどパッと出てこない!

 

3章

シュレーディンガー方程式… これ名前のかっこよさの時点でズルいですよね。

古典的波動は電磁波で死ぬほど見た形ですね。波動論をちゃんとやってないけどなんとかなるやろ。

本格的に訳が分からなくなってきました。気合で読み進める他ないのかもしれないです。シュレーディンガー方程式がハミルトニアンを使うと簡単にかける?わからなすぎるな。

シュレーディンガー方程式は何を求めたいの?私は何をしているの?数学を追っていくだけです…

定数倍しても同じってのは、ベクトル空間でいう基底みたいな感じですかね。あ、規格化できるよってだけか。

なるほど!時間に依らないときシュレーディンガー方程式は固有値問題になるのね!Eも求めなきゃいけないのは必然!マジで1周じゃ理解出来んな。多分ある程度我慢して読んで知識を一気にまとめないと理解できないんじゃないかなと思います。ロックマンの最初のボスは弱点武器無しで戦わなきゃいけないみたいな感じ。

 

第4章

4章で一般原理が出てくるんですよ!?3章初学でわかるわけないやん!一旦読み切ります。

交換子、ブラケット、行列表示…一ミリもわからん…

ただ、ベクトル空間らしい話(行列表示)をしてるので、数学から攻めていけばわかるかも。

別の本読めばわかるのかね。

難しいー!!

 

読後の感想

ひとまず第4章までがこの本のボリュームゾーンなので、ここで区切ります。後々(理解してから!)5、6章にもチャレンジしたい。とにかく訳が分からなかった!分かるかなと思って進んでもなお分からないです。数学的に攻めていく方がいいのかな…とは今思っています。まあ、まだ焦る必要は無いんですけどね。

量子力学全体として、一周してみないと意味がわからないような構成になっていて(一周してもわかるとは言っていない。)、別の本を読んだらもう少しわかるのかなと思っています。あとは演習!

力学、電磁気とはやっぱし全然難易度が違いますね。個人的には力学→電磁気→熱力学→解析力学量子力学と順々に難しくなっていく印象です。

この後は清水量子論とかを参考に少し演習してみよっかなと思ってます。もしくは砂川量子力学

 

多分全然内面化出来てません。量子力学理解したい…

フーリエ解析をお勉強したよって話

色々参考にしたのでそれぞれ記事書くよりかは1本に纏めたいなって

フーリエ解析

フーリエ級数展開

三角関数をベクトルと見る時、その内積は0であり、直交するといえる。また、ノルムは√π。これを利用して周期関数を三角関数の無限個の線型和で表そうと言うのがフーリエ級数展開の考え方である。

フーリエ級数展開できると仮定すると、係数が1/π∫[-π,π]f(x)cosx dxで与えられる。(もしくはsin) これは対偶を取れば分かるが、必要条件であり、

フーリエ級数展開可能であるとは「全ての係数が存在し(⇔f(x)がリーマン積分可能で)、その無限和が収束し、そしてそれがf(x)と一致する」ことを言う。

フーリエ展開はテイラー展開と比較することで威力がわかる。テイラー展開可能なためにはf(x)がC∞級であることが必要だった。これは非常に強い条件である一方で、フーリエ級数展開はかなり多くの関数に適応できる。(このとき、どの関数なら適応できるかを考えるのがフーリエ級数問題である。)

一般に、区分的連続かつ区分的に滑らかなとき、関数はフーリエ級数展開可能である。不連続点では、その右極限と左極限の平均値に収束していく。

また、周期関数にしか適応できない問題は、フーリエ変換を考えることにより克服される。

複素フーリエ級数

フーリエ級数展開フーリエ余弦係数とフーリエ正弦級数に別れていたが、これを複素関数の力を借りることで一本にまとめることが出来る。Cn=(an-ibn)/2、C-nをその共役複素数とおくことで、e^inxの無限個の線型和で表現できるようになる。

このとき、係数Cnは

1/2π∫f(x)e^inx dxとすぐに分かる。

これによって式が一本化されて議論しやすくなった。

フーリエ変換

これまでは周期2πの周期関数のみを考えていたが、x→2πx/Lと置換することで任意の周期へと拡張できる。さらに、L→∞として、区分求積法の力を借りることで、フーリエ級数展開フーリエ変換になる。フーリエ変換フーリエ逆変換と1対1に対応する。その証明には複素積分を用いる。フーリエ変換はふたつの世界をまたぐトンネルと思うと良い。(元の関数の世界と波数の世界)

フーリエ変換の応用

デルタ関数フーリエ変換すると定数。デルタ関数をsinx/xなるsinc関数の極限と見ると、デルタ関数フーリエ変換が分かり、任意の関数をデルタ関数との積で表現することで、フーリエ変換の式を得ることも出来る。

また、ある種類の微分方程式を解く際にもフーリエ変換は有用である。とくに、デルタ関数を使ってグリーン関数を導出するタイプの微分方程式では、フーリエ変換して係数を比べることで解を求めることが出来る。

フーリエ変換の物理

フーリエ変換は関数の波数を求める操作であった。これは、量子力学で言うところの位置空間と運動量空間の入れ替えに等しい。波動関数フーリエ変換したものは、運動量の確率密度を表す。

 

 

世界を入れ替えよう!